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CATVのデジタル化については既に1994年から郵政省内で検討が進められており、アプリケーションに関する多様な実験が試みられ、ネットワークについても光同軸ハイブリッド方式等の導入や、通信との融合の中での放送のデジタル化方針が打ち出されている。光化、デジタル化に係わる世界標準も1994年からITUで検討され、96年5月、電気通信技術審議会で「デジタル有線テレビジョン放送方式の技術的条件」が答申され、11月には5月の答申に基づき有線テレビジョン放送法施行規則の一部改正が行われた。

技術的条件の骨子は、衛星デジタル放送と同じ圧縮方式であるMPEG-2を用い、64QAM方式で変調することで衛星の1トランスポンダ(27MHz、4〜6番組)をCATVの1チャンネルで伝送するというものである。

一方、日本デジタル衛星放送の「PerfecTV」は、96年9月から70チャンネルの放送を開始し、97年以降も「JskyB」や「DirecTV」等のデジタル衛星放送が始まる。アメリカでは、DirecTVが94年から175チャンネルの放送を実施して既に125万世帯の加入を獲得し、ヨーロッパでもBSkyBなどがCATV加入を阻害しているといわれ、摩擦が生じている。このため、日本ではケーブル事業者とPerfecTV両者による話し合いの結果、PerfecTV側がパラボラアンテナ設置費用を負担するなどの施策がとられることになった。

また、光化・デジタル化などへの設備投資は、それでなくとも多額の初期投資の必要なCATV事業者にとっては頭の痛い問題である。郵政省は1993年に地元事業者要件の廃止、外資規制の緩和、複数事業計画者間の一本化調整廃止などの大幅な規制緩和策を発表しCATV事業の振興に乗り出しているが、これにより米国CATV事業者と日本の商社が提携したMSOが相次いで誕生し、ダイナミックな事業展開を表明している。

CATV事業の特徴である地域情報チャンネル(コミュニティチャンネル)は、機材、時間、スタッフの限られた中で制作せねばならず運営は楽ではない。大手商社の中には、コミュニティチャンネルは経営を別建てにし、市の商工会や市民グループが規格して運営する方式を提案する所もある。経費の一部はケーブル局側でも一部負担するが、チャンネル使用料は無料とし見返りに営業をする。CATV事業を設備業と理解し、膨大な投資に耐えられる所が設備を持ち利用者に提供する、という発想である。しかし現状では、東急ケーブルテレビジョンをはじめ自治体の出資のないCATV事業者も、コミュニティチャンネルの充実を将来の重点サービスと考える所は多い。

この背景には、CATVの運営主体の半数近くを占めている非営利法人の、中核的存

 

 

 

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